2016年09月07日

土本さんの三島手

土本さんの三島手はじつにキュートです。李朝の器をお手本にしながらも、型通りではない華やぎと、手で包み込んでしまいたくなるような愛らしさがあります。造形は訓寛さんが、細かな象嵌などの作業を久美子さんが担当されています。

いつも入荷してすぐに売り切れてしまうしょうゆ差しも、今回特別にかわいらしいものが数点。何度も注いでしまいたくなるようなキレのよさも魅力です。

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【三島手 醤油差し】高さ約7cm 皿φ9cm ¥6264

三島手とは、ベースとなる土を轆轤で挽いたあとに、線彫りや印判で土をへこませ、白い土を埋め込む技法のこと。主に、象嵌と掻き落としという手法があります。

こちらのこつぼ(振り出し)は、左が掻き落とし、右が象嵌です。掻き落としは化粧土をヘラなどで掻いて落とし、模様をつける方法。象嵌は、串で土を彫ったところに白土を埋め、はみ出した部分などを削り落とします。どちらもたいへんに根気のいる仕事と思われますが、久美子さんはこの作業をこよなく愛していて、まったく苦にならないとおっしゃいます。

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【三島手 振り出し】高さ8~8,5cm 最大径5.5~6cm ¥7560

土本さんがお住まいの福井県は、米どころとしても知られています。お米がおいしいところには、必ず銘酒があります。そのお酒をもっとおいしくするのが、酒器です。

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【酒注ぎ(大)】高さ9~10cm 最大幅約13cm ¥10800

今回の新作、なんともほんわかとした雰囲気でとても素敵。手前が掻き落とし、後ろが象嵌です。同じ形の少し小さなサイズ(¥8100)もあります。

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【たて片口(小)】 高さ7cm 口径6,5~9cm ¥3780

こちらは小ぶりの片口。右側は赤みがかった仕上がりになっていますが、左のものと土は同じ。釜の中の温度の影響で、このような色の違いが生まれるのだそうです。

これらの三島手作品は、すべて薪窯で焼かれています。ご自身で手作りし、何度も作り直したというこだわりの窯は、高温の部分には艶が、低温だとマットな質感に仕上がります。三島手の本焼は20時間。酷暑の中での作業、こちらも苦労が偲ばれますが、「この薪窯あっての作品」とおっしゃるほど、生みの苦労を厭わないご様子。

土本訓寛さん、久美子さんの作品がこれだけの点数揃うのは、おそらく都内では初めて。ぜひ店頭で手に取ってご覧いただけたらと思います。
posted by marukaku at 19:07| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 展覧会風景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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