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4月10日にスタートした土本訓寛・久美子展。届いた作品のすばらしさにスタッフ一同大興奮。初日と2日目はおふたりが在廊してくださり、お客様とともにあれこれお話をうかがいながら、時を過ごせる幸せをかみしめています。
まずは、とても珍しい手法で作られた「焼き締め象嵌」をご紹介しましょう。
焼き締めでありながら細かな模様がある、まずそのことに驚きます。しかも、なんとも自然な溶け具合で、一見して象嵌とは気づかないほど。「焼き締めは窯の中の火の当たり方によって、灰の舞い方によって焼き色が変わってきます。ひとつひとつ異なるその表情を楽しんでもらうため、象嵌もごくシンプルに。よくよく見ると何か文様があるぞ?というくらいでいいと思っているんです」(訓寛さん)。
その話に大きくうなずいてしまったのが、こちらの作品。窯の中で存分に火を浴びて育った焼き色、そこに加わる象嵌のさりげなさと楽しさ。土と火のエネルギーを肌で感じ、ずっと見つめていたくなります。
焼き締めは訓寛さん、そこに象嵌を施すのは久美子さん。おふたりはとても仲が良いのですが、夫唱婦随でも婦唱夫随でもないところがまたよいのです。「アイデアを寄せ合って作風を決めるというよりは、お互いの主張を認め合い、探りながら作っていく感じです。私はだいたい器の形からデザインを考えるのですが、どう描くかを決めるのは、じつは実際に描き始めた瞬間だったりします」(久美子さん)。お互いの個性を尊重し合い、たし算ではなくかけ算で出てくるものを楽しんでいる様子。それが作品に如実に現れているように思います。

銅鑼鉢も、なんともいえない風情です。

なんともほっこりした形の片口。立ち話をするフクロウに見えてきたり。
焼き締めはすべて薪窯で焼かれています。窯自体も実は訓寛さんの手作り。日中は久美子さん、夜は訓寛さんが窯を見守りながら、60時間という長い時間をかけて焼成するそうです。この1年は窯の調整を繰り返し、「窯との付き合い方もだいぶうまくなりました」(訓寛さん)と笑顔を見せてくれました。
いつもの三島手もたくさん焼いていただきました。
花器は存在感たっぷり。右手の蓋ものは、小吸い物碗としても蓋碗としてもちょうどよい大きさ。
そして、人気の急須。焼き締めも三島手もそろい踏み。
いずれもかなり数が少なくなってしまいましたが、まだ間に合います。十分な対策のもとでお客様をお迎えしておりますので、広めの店内でゆったりと土本ワールドをお楽しみいただけたらと思います。