空を見上げるとうろこ雲。秋の気配・・と思いきや、まだまだ蒸し暑い日が続く東京です。
まるかく店頭では、8月21日からガラス作家の中村真紀さんの個展が始まっています。この季節はもちろん、しっとりとした秋の食卓にも似合いそうなガラス作品が揃いました。さっそくご紹介しましょう。
中村さんの酒器。いろいろなタイプがあります。見ているだけではおさまらず、ひょいと持ち上げて口に運びたくなるような、そんな形です。重くもなく軽すぎもせず、どんな手にもしっくりおさまるような気がします。
転がしてみると、こんなお顔。大人な色合いがとても素敵です。
こんなお猪口を作る方は、きっとおいしいお酒を知っているのだろうなあ・・と、中村さんに尋ねてみると「そうですね、昔はよく飲んでいましたね。今はおいしいお料理とおいしいお酒が少しあれば、という感じですが。猪口は香りが立つ形を意識して作っています」とのこと。日本酒がお好きとのことで、ワイングラスを作るご予定はないそうですが、今回は、少し前にまるかくで開催した「たっぷり飲める展」のためにゴブレットも作ってくださっています(Instagramをご覧ください)。
注器も充実しています。こちらの手付き注器、水切れは抜群、そして持ちやすく注ぎやすい形。約1合入ります。
こんなシンプルな形もよいもの。お酒はもちろんのこと、ハーブティーなど楽しむのにもよさそうです。
ただし、ガラスは温度差に弱いので、熱いお湯は厳禁です。50〜60度くらいまで冷ませば大丈夫。また、急冷もしないほうがよいそうです。冷凍庫はNG、取っ手やつまみなどが付いたものは、冷蔵庫にも入れないでください(この片口やお皿など、シンプルな形のものなら冷蔵庫に入れても大丈夫です)。
さて、この辺で中村さんの作品の特徴でもある、美しき気泡と「底」をお見せしましょう。
こちらの気泡の持ち主は・・
楕円皿。「水面の月」と名付けられています。
にぎやかな気泡。
上から撮るとこんな感じ。涼やかな気泡に縁の金箔が気品を添えます。実に使いやすそうな小鉢です。
このたおやかなフォルムの向付をひっくり返すと・・
きりりとした底部が現れます。中村さんが「底へのこだわりがあって、仕上げにふつうの倍くらいの時間をかけてしまうんですよね」とおっしゃるのも分かります。逆さにしておきたいくらい美しい底、なかなかお目にかかれるものではありません。逆さになってしまいましたが、銘のMが入っているのも分かるでしょうか。そして気泡。裏から見てもやはり美しい。うっとり、です。
中村さんのモノづくりの原動力は「食べること」だといいます。「作った料理をのせたいから器を作っているようなところがあります。器単体でももちろん美しいほうがよいと思いますが、基本的に器は料理を盛って初めて完成するもの。サイズも、何寸とか何センチといった規格にとらわれず、盛りつけたときの余白をイメージしながら作っています」。
こちらはDMでもご紹介した楕円皿の「星河」。天の川をイメージした気泡が入り、そのままでも十分に美しいのですが、お料理を盛ってみるとその魅力が倍増するのが分かります。この皿を用意した瞬間、料理気分にスイッチが入りそうです。
食器だけではなく、こんなかわいらしい花器も。
かなりの点数が入荷していますので、店頭でぜひお手にとっていただければ幸いです。
2021年8月21日(土)〜8月31日(火)