(すでに完売した作品もあります。在庫状況はお電話かメールでお問い合わせください)
10月10日にスタートした三人展、店内はまさに秋色です。しっとりと深みのある空間になっているのは、おそらく三人の作品にさまざまな共通点があるからなのだと思います。
例えば、「かたさ」「やわらかさ」の解釈。あるいは、「古いもの」「新しいもの」のとらえかた。
もちろん、作風は全く異なりますし、素材も田中さんは金属、大胡さんと山口さんは土です。作っている場所もそれぞれ、一見つながりのなさそうな3人ですが、並べてみると2倍にも3倍にも魅力が増すような気がするのです。
いみじくも田中俊介さんがこんなことをおっしゃっていました。「金属はなんとなく冷たくて硬いイメージを持っている人が多いと思うのですが、やわらかい形やあったかい質感も醸し出すことができる、とてもおもしろい素材なんです」。
確かに田中さんが作り出す形には、土や木に通じるあたたかさがあるような気がします。例えば今回の新作である、たんぞうスプーン&フォーク。この「たんぞう=鍛造」という製法は、真鍮の丸棒を真っ赤になるまで焼き、冷めないうちにたたいて加工するのだそう。平たい真鍮の板を加工するのとはまた違った雰囲気の作品となっています。
たんぞうスプーンとフォークはそれぞれ大・中・小とあります。持ち手の部分は、葉っぱや魚の尾びれのような有機的なイメージで作っているのだそうです。使い込むとまたさらによい風合いになっていきます。
こちらも新作、その名もフルムーントレー。写真はφ34cmの大きさですが、他に28cm、22cmがあります。ていねいに仕上げられた“月面”に、秋のお野菜を少しずつ。
田中さんは、食器ばかりでなく調理器具もお得意。いつも入荷したとたんに出ていってしまうふたば鍋も入荷、ミニサイズも登場しています。
銅の湯わかし。ふたば鍋と同じく内側は錫で加工してあります。銅鍋の熱伝導率+手入れのしやすさ、そしてこのかわいらしさ!!朝、コーヒーを入れるときにこんな道具を使ったら、それだけで1日気持ちよく過ごせそうです。
田中さんが金属の魅力に気づいたのは、なんと高校生のときだそう。美術の道を志して油絵を専攻、そんな中で出合った金工の授業で金属のおもしろさに目覚めたといいます。「硬い金属がたたかれて形が変わるのはおもしろいものだなあと。そして、すぐには変化せず、時間をかけて少しずつ変わっていくあたり、自分の性分に合っていると思いました」。以来、素材と対話しながら製作を続ける田中さん。金属を身近に感じて欲しいと、食器や調理道具などの身近なものを作り続けています。
続いて、大胡琴美さんと山口友一さんの器にもご登場いただきましょう。
まずは、陶房を松本から千葉に移した大胡さんの作品から。
大胡さんのブロンズ釉シリーズは、釉薬にマンガンを使っています。今回、こんなキュートな一輪挿しをたくさん作ってくださいました。
こちらは、安定の片口。
内側は透明釉。外側の釉薬の金属成分が流れ込んで反応し、乳白色の部分ににじむように黄色や緑が広がっていきます。これがなんとも美しく、あたたかい表情を生み出します。
コーヒーカップ&ソーサー。内側は少しずつ貫入が入り、いい具合に育っていきます。田中さんの真鍮とも相性ぴったり。
こちらは焼締めの茶器。まるで秋の夜空のよう。吸い込まれそうな美しさです。
続いて、山口友一さんの作品です。
熊本県の小代山麓で400年も前から焼き続けられている小代焼。窯元の長男として生まれた山口さんは、お父様から引き継いだ伝統的な手法に、現代的なフォルムを掛け合わせて独自の作風を生み出しています。
伝統的な青小代釉にマット感のあるリムが印象的。どんなお料理でも受け止めてくれそうな青小代釉プレートです。大きさは9寸と7寸の2種類。
こちらは、つぶ化粧緑釉の急須。素地に顔料で色をつけ、その上に白化粧を施すことで流れるような模様が現れます。
南米の古いものが好きとおっしゃる山口さん。こちらの白線文様黒釉盆皿の大胆な刷毛目は、もしかするとそんなところからの発想なのかもしれません。一見使いこなしが難しそうに見えますが、じつは盛り映えのする使いやすい器です。
田中さん、大胡さん、山口さんの作品を駆け足にご紹介しましたが、店頭ではまだまだたくさんの作品をご覧いただけます。また、オンラインショップでも一部の作品を取り扱っていますので、遠方のかたはぜひ
こちらをご利用ください。
【田中俊介・大胡琴美・山口友一 三人展】
10月10日(土)〜10月20日(火)
posted by marukaku at 22:43| 東京 ☁|
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展覧会風景
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